「…瀬名君の知り合いの方?」

綺麗な女性が部長に問いかける。

…喋り方一つとっても、本当に隙がない。


「…本社で、俺の部下だったんだ、2人とも」

「そうなの、私藤下峰子と言います。今は、瀬名君と同じ部署で働いています」


そう言って頭を下げた峰子。


「どうも、オレは、荻田隆盛、こっちは坂口今日子って言います」

「美男美女で羨ましい・・・

ぁ、わたし、もうすぐ、瀬名君と婚約するの・・・

結婚式には、是非招待状を送るわね」



「「・・・・・」」


ありえない言葉に、言葉を失った私たち。



「峰子さん、勝手にそんなこと言わないでくれ・・・

まだ決まったわけじゃない…大体俺は」


そう言って私を見た部長。

…私は思わずその目から顔を逸らした。


「…すみません、オレたちはこれで」

「あら?今来たところじゃなかった?」

「…ちょっと用を思い出して・・・行くぞ、今日子」


何も考えられない私の手を引いて、隆盛は店を出た。