「霧谷も男じゃない。で、他には?」


「他?」



他って何があるんだろう……



きょとん、とした顔でゆっちゃんを見る。



「……その様子じゃ何も無さそうね」


「?」



まぁ萌って意外と鈍感だし、と言ってゆっちゃんは立ち上がった。


そろそろ昼休みも終わるし教室に戻ろう、ということだと思う。


あたしもいちごみるくを飲み干してからゆっちゃんのあとを追う。



「そういえば、霧谷ってヤキモチとか妬かないの?」


「へ?ヤキモチ?」



廊下を歩きながらゆっちゃんが思いついたようにあたしに聞いてきた。



「んーー……」



思い返して見るとないかもしれない。


あたしもないなぁ。


そう言うと、萌はそうだろうけどあんたに近づく男子は結構多いじゃない、と言われた。


でもそれはゆっちゃんに近づいているんであって、あたしはただのおまけだと思うけどなぁ……


あたしはちょっとしか喋らないし。



「あ。萌、今日時間ある?」


「へ?んーと、霧谷くんと一緒に帰る約束はしているけど、特には……」


「よし」


「?」



ゆっちゃんは何か面白いことを思いついたのか、歩いている間ご機嫌だった。



「お、夕希ちゃ〜ん!」



教室ち着くと峰くんがにこにこしながらあたしたちに手を振っていた。


いつもみたいに不機嫌になるかな、と思ってゆっちゃんを見ると、ゆっちゃんはにやりと笑った。



「いいところにいたわね峰。ちょっと話があるの」


「えっ、マジ?ち、ちょっ……」



グイグイと峰くんの手を引いてゆっちゃんたちは廊下に消えていった。



ゆっちゃんと峰くんの組み合わせって、珍しい……