「萌、」
名前を呼ばれてドキッと心臓が跳ねる。
「な、なんでしょう……?」
ベッドに座っているあたしの前には、流が座っている。
だからちょっとだけあたしが流を見下ろす感じ。
何回かこういうのあったけど、まだ慣れないな。
「何?さっきの」
「へっ!?」
さ、さっきのというと、ど、どのこと?
な、名前のこと?
名前のこと……だよね?
「あ、の…えと……」
モゴモゴと口ごもるあたしを、流は真っ直ぐに見ている。
そ、そんなに見られると照れるよぉ……
何も言わずにただ流を見つめていると、はぁ、と流が大きなため息をつく。
え、え……も、もしかして名前で呼ばれるの嫌だったのかな?
名前呼ばれて嬉しいと思ったのはあたしだけ?
うわぁ、勘違い恥ずかしいよぉ……っ
「ご、ごめんなさい……」
「なんで謝るの?」
…………へ?
「だ、だって、いきなりあたしが名前で呼んだから…
嫌だったのかなって……」
おずおずとそう言えば、流は更に大きなため息をこぼす。
俯いた拍子に流の黒い髪がさらりと顔にかかって、その表情がよく分からない。
「……嫌なわけないじゃん」
「えっ、何?」
小さくてよく聞き取れなかった。
もう一度聞こうと口を開くと、口を柔らかいもので塞がれる。
「、へっ?…んんっ……」
え?ちょっ……いきなりどうしてっ?
何が起こったのか頭の中がパニックになりかけるけど、すぐに流とのキスでそんなことも頭から弾け飛ぶ。
「、っは……んぅっ………」
も、限界……っ
甘く痺れた頭でそんなことを考えると、タイミングよく流の唇が離れた。


