「………萌」
「な、なに……?」
萌がおずおずと見上げる。
「これ誰かに見せた?」
きょとん、とした顔をする。
「え、うん。ゆっちゃんと峰くんが買ってくれたものだから……」
二人は見たよ、と言う萌。
「相田は、まぁいい。陸真め……」
この格好の萌を見たのか……
心の中で舌打ちをする。
「霧谷くん?」
萌の真っ直ぐな目……気づいてないな。
ほんと……もう少しだけ危機感を持ってほしいと思う。
「……萌、その服俺以外の前で着ないでね」
「??」
"?"を浮かべる萌。
はぁ……
俺はぎゅっと萌の体を抱きしめた。
「き、霧谷くん!?」
ほんと、危機感持ってよ。
こんな服着て……誘ってるようにしか思えないんだけど。
俺がそう思う理由……
すっ、と萌の背中に手を這わすとびくぅっ、と萌の体が揺れる。
それはこのワンピースの後ろが大胆に開いていて、背中が丸見えになっていたからだ。
……相田が言ってた頑張れって、こういうことかよ。
確かに、こんな姿を見せられれば理性ももたなさそうだ……
「き、霧谷くん……離して……っ」
体を押されるが、今の顔を見られるわけにはいかない。
多分、赤いし。
それに、せっかくこんな格好してるんだ……
ちょっとぐらい苛めてもバチは当たらないと思う。
「きり……やっ……くん……っ」
そっと、その白い背中を撫でる。
柔らかな感触、熱い体温、近くで感じる萌の香り。
そして………
「ひゃ、ぁ……っ、や……」
萌の、色気の含む甘い声。
その全てに飲まれそうになる。
「萌、こんな服着てきたら……」
耳元で囁く声に萌の体が微かに反応した。
「襲われちゃうよ?」
すぅ、と線を描くように指を動かすと、萌は小さな声をもらして俺の服をつかんだ。


