……まぁ、今はそれより。
「それで、」
「うん?」
不思議そうに見る萌に、俺はにこりと最上級の笑顔を見せた。
「相田さん曰く、そのカーディガンは余計な付属物だってさ」
手紙の最後に書かれていた言葉が気になるわけで……
「だから……」
俺は萌に手を伸ばし、プチン、と一番上のボタンを外した。
「脱いでみようか?」
何も言わない萌に二つ目のボタンを外す。
はっとしたような顔になり大声でだめ!と言う萌に内心驚く。
「絶対だめっ!!」
「なんで?」
「だ、だめだから!!」
必死になる萌の姿がかわいくて俺はくすくすと笑う。
「萌、それ理由になってないから」
それに、そこまで嫌がられると逆にしてみたくなるよね。
萌の手を避けながら一つずつボタンを開けていく。
「萌、そんなことしてたら脱げないよ?」
全てのボタンを開け終わっても、萌はまだ諦めずにふるふると頭を振る。
……というかそんなにこの服嫌なのか。
見た目は普通と何も変わらないんだけど。
今日の萌はパステルイエローのシンプルなワンピースに白いカーディガンを着ている。
……普通、だよな。
まぁ、相田があぁ言ってるし、萌も嫌がってるからなにかしらはあるんだろうけど。
「そっか……萌がそれなら仕方ないね」
萌の態度に、このままだと平行線のままだと感じたので、俺は体を起こした。
あからさまにほっとした萌の顔に笑みがこぼれる。
逃がさない、って言ったよね?
「……え?」
目の前に萌のきょとん、とした顔が広がる。
その顔に心の中で笑みを浮かべながら、きゅ、と萌の両手をベッドに押さえつける。
「………っ!!」
今の状況が理解できたのか萌の顔が赤くなった。


