「あの!待ってください!」
元ヤンっぽい女の子が、千海を引き留める。
「光輝高校ですよね?」
「・・・だから何?」
コンプレックスの高音のアニメ声を聞かせないよう、わざと声を低くする。
「私も光輝高校なんです」
「・・・それで?」
「何年生ですか?」
「・・・1年」
「あ、じゃあ私と同い年だ!良ければお友達になりませんか?」
眼鏡の奥にある大きな二重の瞳が千海をとらえて、離さない。
「・・・あたし、友達なんて欲しくないもの」
千海というと引かれたことがあったので、慣れない“あたし”で反応する。
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