「面白い子ですね、坂下くんは」
「そう?」
地理の時間、南香央が俺に囁く。
あいつは面白いんじゃねぇ、ただの馬鹿だ。
「あたくし、君太くんがあんな賑やかなこと親友なんて思いませんでしたわ」
いや、親友じゃねぇけど?
「人は見かけによりませんねぇ」
「煌は賑やかでうるさい時やしつこい時もあるけど、良い子だよ。
香央さんも、仲良くしてみてね」
うるせぇ時やしつけぇ時しかねぇよ、あいつは。
「君太ぁ。もう時間じゃねぇ?」
「え?あぁ、そうだね。じゃあね香央さん。僕早退しなくちゃ」
「病院ですの?あたくしも行きますわ」
俺に倣い、荷物をまとめようとする南香央。
ちょっと待て!


