「まぁ、どうしてです?
折角運転手さんがいるんですもの。
車で行きませんの?」
「車って・・・」
徒歩10分の距離を車で行くなんて。
信じられねぇ。
ガソリンの無駄じゃねぇか。
「ここからそう遠くないから、僕は歩きで行くよ。
香央さんが車で行きたいのなら、行けばいいよ」
「そんなの嫌ですわ。
君太くんも、車で行きましょう?」
「体力を作るために歩きで行きたいんだ。
香央さんが車で行くのなら、ここでお別れだね。
じゃあ、また後でね」
俺は終わりの方ほぼ早口で話し、早歩きでその場を去ろうとした。
・・・俺の手をつかまれなければ。
「わかりましたわ。
あたくしも、歩きで行きますわ。
君太くんと同じ道を通りたいんですもの」
なら、初めからそうしろよ。


