馬鹿に付ける薬はないからなぁ。
「ところでさ君太。もうすぐ時間じゃねぇ?」
「あ、ホントだ。行かないとね」
机に入っていた筆箱を学校指定の鞄にしまう。
肩にかけると、先生から声がかかる。
「梶原くん、坂下くん。もう時間?」
「おう!今日も俺は全国の煌くんファンに笑顔を届けてくるぜ!」
・・・何言っているんだよ、こいつ。
俺は心の中ででかい溜息をつく。
全国の煌くんファンだと?
お前のファンなんて、10人いるかだろ。
俺がそう思っていると、俺と同じクラスで俺のファンクラブ会員だという
三野瀬茉樹(みのせ・まき)が立ち上がった。
今、数学の授業中ってこと、忘れてねぇか?


