「そうなんですか!
どうかね君太くん。香央はどうかね?」
いきなりおじさんの顔が明るくなる。
・・・なるほど、読めたな。
「香央ちゃん、可哀想だねー」
「香央がかい?なんでだい?」
「だってさぁ、自分の潰れかけの会社を守るために、可愛がっている娘をまだ出会って数分の僕に預けようとするんだよ?
僕のバックについている東堂を使えば、会社は元通りになるからね。
会社のためだけに手放される子どもの立場って考えたの?」
「それは香央を売るってことかい!?
とんでもない!
僕が香央を売るわけないだろう!?」
「香央はどうかねって聞いていると、売ろうとしているみたいにしか聞こえないんだけど?
おじちゃんが香央さんを売るまでして、会社守りたいの?」
ちなみにこれは、おじさんだけに通じる言葉ではない。
俺の横で焦った顔をしているこの人にも通じる言葉だ。


