「でしょう?僕、一応東堂の人間だから、これぐらいは知っておこうと思ったんだぁ」




「ははは。一応だなんて。君太くんはちゃんとした東堂の息子だろう?」




「今はね。そうだよ」




「はて、今?」




「うん。だって僕のお兄様、縁切られているの。跡取りじゃないからってね。
跡取りは1番上のお兄様だから、跡取りじゃない僕は必要ないかなって。

僕もいつかお兄様みたいに縁を切られちゃうのかな?
僕はまだ中学生だから切られないだろうけど、高校生になったら切られちゃうのかな?

お兄様は高校生で切られちゃったから」





 となりで黙って俺の話を聞くあの女。



 
 どんどんその顔が歪んでいく。




 良いぞ良いぞ。



 その調子で、どんどん歪め。




「あれー?どうしたのお母様―」



 わざと気が付いていないフリをして、俺は笑う。





 我ながら、性格悪いな。