その2人の間で小さくなっているのが、俺と同い年ぐらいの女。
淡いピンク色のドレスには白い花がついている。
茶色い髪を、下で三つ編みにしている。
母親らしき女に似て、大人しそうだ。
「遅れて申し訳ありません。ほら、君太も謝りなさい」
「ごめんなさい。支度に時間がかかってしまいました。
緊張して、思ったように進まなかったんです。
遅れて申し訳ありませんでした」
俺はあの女よりも深く、頭を下げた。
表の“僕”の俺なら、こうして素直に謝って頭を下げるはずだから。
俺は今、“僕”の俺だ。
俺は少しだけだが、ドラマの主演を務めたことがある。
ソロとして活躍したのもドラマ主題歌を歌うことが出来たから。