暫くして、近藤さんが入ってきた。
セキュリティ解除に時間がかかったんだね。
「お疲れさま、君太。何か飲み物淹れようか?」
「ありがと。気が利くね」
「いえいえ。僕の仕事だから。何でも言ってね?」
「助かるよ。学校の馬鹿共とは大違いだね」
近藤さんは俺の本性を知っている。
なんでも、昔近藤さんも俺と同じく、裏表を上手く利用していたんだって。
初めて社長に俺の写真を見せられた時、すぐに俺に裏表があるって気が付いたらしい。
恐ろしい人だよ、俺の笑顔が通じねぇんだもん。
「はい。疲れた時に飲む、ハーブティー」
「ありがと。何飲みたいって言ってねぇのにわかるなんてな」
「僕もよく家に帰ったら飲んでいたからね」