流川のジーンズのおしりを見上げながら上る階段。

 
走ったりびっくりしたりしたカラダは重くって、足がなかなか上がらなかった。

 
先に部屋に入った流川は、サンダルを脱いで後に続こうとした私のおでこを押さえた。



「ちょ、ちょっと」


「お前はそこで待ってろ」


 
そのままバスルームに真っ直ぐ向かった流川は、青いバスタオルを持ってきて。

 
私の前で、両手でそれを広げたと思ったら。


 
がばっと。

 
頭からかぶせられて。

 
まあ…そこまでは良かったのだけど。



「あ、あででで…い、痛い…」


 
わしゃわしゃわしゃわしゃっと、頭をおもいっきり回されて。

 
濡れた髪を勢いよく拭かれた。

 
まるで濡れた犬でも拭くような大ざっぱさで。



「ちょ、ちょっと、い、痛いっ」


「我慢しろ」


「自分で、できるってば…っ」


 
流川の動きを止めようと、両手をあげて、抵抗する。

 
バスタオル越しに私の頭を押さえつける流川の両手に触れて。

 
 
前が見えないから、感覚で手をずらしてその手首をつかんだ。

 
引き剥がそうとチカラを入れる。

 
なのに。

 

「暴れんなよ」


 
楽しそうな流川の声。



「ひ、人の頭で遊ばないでよっ」