半分涙目で、流川をにらみつけていると。



「ま、いっか」


 
…はい?



「好きにしろよ」


「な、なにが?」


「ここに居てもいいし、帰ってもいいし」


「……」


 
そ、そうですか。

 
なんだか、急にそう言われると変な感じ…



「とにかく俺は」


「…とにかく?」


「寝る」


「……は?」


 
立ち上がった流川。

 
残りのパンをかじって、ごくりと飲み込むと、そのままベッドのある部屋へ。

 
 
私はまた、追いかけて。

 
後ろから声をかける。



「ちょっと…」


「出かけるにしても、出て行くにしても、鍵かけて行けよ」


「はあ…?」


「おやすみ」


「え? あ、おやすみ」


 
ああ、また素直な返答をしてしまった…

 
どうも、こいつのペースにのせられてしまう…


 
布団もかぶらずに、さっきまで私が寝ていたベッドの上に大の字になった流川の鼻からは、すでに寝息が漏れていて。

 
時折、長いまつげがぴくりと動く。


 
私はその顔を眺めながら、その場に立ち尽くしていたけれど。


 
流川の寝顔が。

 
結構、カワイイ…と思ってしまったことは、



――やっぱり、

 
誰にも言えない…