しばらくそのカラダを抱きしめて。

 夕日に染まったまま、静かにゆっくり流れる時間。


 離れねーな、コイツ。

 おい、生きてんのか?




「流川…」


「ん?」


「好き」


「………」



 もう惚れたのか。

 早ぇよ。

 
 俺の策略に、引っかかりすぎだ、お前。



「流川は?」



 うるせーな。



「好き?」



 言えるか、そんなセリフ。

 これまでも散々苦労してきたんだぞ。



「ねえ、好き?」



 黙れって。



「ねぇねぇねぇねぇ」



 このヤロー…




 頭と背中に回した腕にチカラを入れて、

 ぐい、ときつく抱きしめてみれば。


「んんん~」


 声付きで、しがみついてきやがって。


 それがお前の策略か?

 
 …そんな発想、お前にはねぇか。


 単純だもんな。




 胸に押し付けてる、ちっちぇ頭を抱え起こして、

 ゆっくり深く、唇を落とす。



 
 わかるだろ、これで。

 言わなくたって。