そわそわ

 そわそわ


「お、落ち着かない…」


 流川を待っているあいだ。

 時間なんて全然気にしてる場合じゃなくて。

 緊張というより、逃げ出したい?

 そんな感じ。

 分かるよね?


 別にそんなに気にすることじゃないんだろうけど。

 むしろ、会いにくいのは流川のほうなんじゃないか?

 …とか思うんだけど。


「そうだ、ひと言目。なんて言おう」


 バカみたいに、そんなこと考えてる。

 考えたってたぶん。

 私のことだから、上手い言葉なんてみつからないだろうし。


 ああああ… どうしよう。

 流川、ホントに来るのかな。

 いいよ、来なくて。


 あ、来てくれないとやっぱり困る。


「あ~~もう…」


 そんなことを思いながら、うつむいて携帯を開け閉めしていると。


「おい」

「ひいぃぃっ!!」


 横から突然肩を叩かれて。

 またまたびっくりする私。


「きっかり15分。来てやったぞ」

「…あ」


 流川。


「ホントに?」

「あ?」

「来た…」


 来ちゃったよぉ。


「お前な、人を呼びつけといて“来た”はねーだろ」


 三日ぶりの流川は。

 なんにも変わってなくて。

 だよな、たった三日なんだもん。


 だけど。

 なんだろう。

 たった三日なのに…


 流川の姿…

 新鮮。


「お前、また顔赤いな。どのくらい飲んだ」

「え? ああ、お酒?」


 お酒のせいじゃないと思いますが。


「何か…苦くて香りのキツイやつ。2、3杯。…いや、もっとかな。憶えてない…」


 なにせ踊り狂っていたもので。はい。


「弱いくせに」


 あきれ顔の流川は。

 ふう、と息を吐いて。


 すとん、と私の隣りに腰を下ろした。