流川と茶色いテーブルを挟んで向かい合い。



「今日はいいお天気で良かったですねー」



お茶を淹れてくれてる仲居さん。



「………」


「………」


 
流川も私も無言で。

 
ああ…ゴメンね、仲居さん。

 
決して無視してる訳じゃなくて…

 
ちょっと今、言葉が出てこなくって…

 
っていうか流川っ!

 
お前がしゃべれっ!



「あ、あの…そのカエルさん、車酔い、大丈夫でしたか?」


 
ほらぁ…

 
仲居さん、ボケるしかなくなってるじゃん。

 
って、これ、素だった…



「カエルさん、皆さんの前でだけ動くんですかねぇ…私には全然反応してくれませんねぇ」



………。


………。



「……フ…」


「…ぶっ」




仲居さんのナイス天然ボケにより、張り詰めていた糸がプチンと切れた。



「ぶぶぶぶーっ!」


「あ、すみません。私、なにか変なこと言いましたか?」


「いや、言ってねーよ」


「でも、彼女さん、あんなに笑われて…」


 
ひぃひぃと笑い転げる私を申し訳なさそうに見る仲居さん。

 
あ、でも「彼女」じゃないよ、仲居さんっ。

 
そこも間違ってますからっ。

 
ツボにハマってしまった私は、反論できず。



「彼女さん、随分転げ回ってますけど、大丈夫でしょうか…」


「ほっとけば治まるから」


「そ…そうですか」


 
ひとしきり笑った私はやっと落ち着いて。

 
カエルと一緒に座り直した。



「あ、お茶はいりましたから。お食事の時間まで、どうぞごゆっくりおくつろぎ下さい」


「ありがとうございます」


 
笑いすぎて悪かったな、と思いながら頷くと。



「カエルさんはお茶飲まれますかねぇ?」



「「ぶぶぶーーっ!!」」



 
流川も私も、畳の上で悶え苦しんだ。