気を失う直前。

 
スローモーションで流れ流れゆく部屋のかたち。

 
 
がっちりと。

 
力強いなにかに支えられたような気はしたけれど…

 
 
私の記憶はそこで途絶えた。




気づいたとき。

 
ふわり。

 
石鹸のにおい。

 
鼻の頭をくすぐっていて。

 

体の下には、慣れた布団の感触。

 
ゆっくり目を開くと、ぼんやり滲む誰かの顔。


 
…ああ、要くんか。

 
 
確認もなしに思わずいつもの調子で腕を伸ばせば。



「気づいたか?」


「??????」



べ、べ、別人っ!

 
さっきの見知らぬ男!!



「ぎっ……!」



再び叫びそうになった口を、大きな手でふさがれて。

 
 
私は。

 
腕も足もバタつかせながら、

 
必死でもがくしかなかった。



 
それが。

 
私とアイツの奇妙な関係のスタートで。

 
訳がわからないまま始まった約一ヶ月の夏。

 

 
この関係、どーなっちゃうの?!


 

お話は、つづく……