やっと、高齢の夫が亡くなる。
亡くなれば財産を手に入れ、今の彼氏と――
そう、リリアは計画していた。
しかし――
ガルシアの予想外の計画によって、リリアの考えは破綻してしまう。
そして、これからも夫と生活を続けないといけない。
最悪、ストレスの影響でリリアの方が先に亡くなる可能性が高い。
こんなことは、絶対に有り得ない。
リリアはガルシアに向かって大声で叫ぶと、白い円柱型の機械を床に叩きつける。
だが、このようなことで機械が壊れるほど、セネリオ達が作った物は軟ではない。
機械が壊れなかったことにリリアは動揺より怒りの方が強まったのだろう、今度は複数の配線を引き千切る。
刹那、警告音が響く。
その音に、セネリオを含め多くの科学者がなだれ込む。
「な、何を――」
「や、止めて下さい」
床に転がっている機械を目に、多くの科学者が動揺を隠せない。
依頼者を何としてでも助け出さないといけない。
その思いで科学者達はガルシアの救出を行うが、リリアにとってはそのようなことをしてほしくない。
罵倒に近い言葉で彼等を罵り、ガルシアの救出を阻んだ。
「な、何故」
「何故?」
「どうして、失敗しなかったの」
「失敗など――」
「失敗して、殺してくれればよかったのよ。もう、こんな人物と一緒にいるなんて、絶対に嫌っ!」
これこそが、冷め切った夫婦の真実の姿。
それを目の当たりにしたセネリオは一瞬言葉を失うが、それ相応の対処をしないといけないと考える。
まず、暴れているリリアの身柄を確保して、同時にガルシアの状況を把握しないといけない。
セネリオからの命令に、科学者達は動く。
一方、連れて行かれることを良しとしないリリアの絶叫は続く。
女特有の甲高い声音に、連れて行こうとしている科学者達の耳を傷める。
それでもガルシアから引き離さなければ、再び機械を壊しにかかる。
また、どうしてこのようなことをしたのか、追求しないといけない。
それにガルシアの状況によって「殺人」が、適応される。


