「もしもし、
東宮様でしょうか」


「はい、そうですが」


「アリス学園、理事長の尾崎です。小百合は居てますか」


「あ、奥様ですね。
少々お待ちください」



そしてメイドさんから母こと奥様〈小百合〉が出た。



「もしもし、律子?
今日はなぁに?」



相変わらず、能天気なご様子。



「ふぅ。
相変わらず元気ねー」


「そんなことないわよ。娘がいないから昨日なんて枕がびっちょりぬれちゃって…」



あはははと高らかな笑い声が聞こえてくる。



「…その美怜ちゃんが
私に会いに来たわよ。」


「そう」


「理事長だってバレちゃったわ」


「そう、他には?」



覚悟を決めていたのか、声は淡々としていた。



「小百合の予想通りあの事を聞かれたわ。まぁ、答えなかったけどね」


「ありがとう」