「まだ会ったこと無いんだけど、理事長って人も知っているらしいよ」
「…美怜、アンタもう理事長に会ってるよ」
自然と声が発している。
「嘘!?」
光を見つけたような美怜の声と同時に背中の汗がスーッと引いていく感じがする。
「誰!?」
美怜は英理にすがりつくかのように聞いた。
「これも極秘なんだけど、理事長って『ダイヤ寮』の寮母さんなんだよね」
美怜の耳に手を添えながら言う英理は誰も見ていないかと慎重にしながらゆっくりとコショコショっと言った。
その事実に美怜は瞳孔が開ききっていた。
「本当に?」
「うん」
「だから以前に会いたいと言っても、教頭先生は会わしてくれなかったんだ」
「なんか、生徒と触れ合いの為らしいよ。普段の生活が一番その人の素の部分が出るからだって」
ある意味納得した。
そしてなんか迫力ある人だと思った。
そんな叔母を持つ英理の生態系がちょっと分かった気がした。