ラズベリー



周りからは良い匂いが漂う。


私の周りと麻衣の周りには歓声も聞こえる。


終了の合図に先生が笛を吹いた。



「皆さんの個性が溢れたお料理が
たくさん出来ていますね。」



そう言いながら、各キッチンを周り、味見をしていっている。


意外にもちゃんと吟味しているようだ。


パスタ、ステーキ、オムライス。


餃子、エビチリ、肉じゃがなどたくさんの料理があり、庶民的なものや、高級素材を使用したもの。


まぁ、ところどころには焦げた墨らしきものもあった。



「まぁ、さすが木村さん。
これはピザですね」



一口頬張る。



「しかもトリュフを使った良い匂いがします。チーズもとろけるわー」



確かに良い匂いだ。


それに見た目も綺麗だ。



「ありがとうございます」



当たり前じゃない。


私はスーパースターなんだから。



先生は手についてしまったトマトソースをペロッと舐めながら、私のほうに歩み寄ってきた。