ラズベリー



「だって、ここまではあの彼女の親しい友達が話している内容なんだ。だから内部のことまでは分からないんだよね」


「なんじゃそりゃ」


「はぁ。このシンデレラストーリーやっぱり憧れるわぁ」


「はいはい。
名前も分からないってことね」


「そういうこと」



ご名答と言わんばかりに人差し指を私に向ける。


そして、英理はまだうっとりとしていた。



そのときだった。


香椎 優輝が前から一人で歩いて向かって来た。



((おっと6項目、左壁に避ける。お辞儀は45度がベスト。そして・・・))


「「失礼致します。」」



『心得』に書いているように必死にした。



「おっ!おはよう。
今日は迷子じゃないんだ」



心臓が飛び跳ねた。


よみがえる昨日の記憶。


まさか、ここで言うかなぁ。



「あの時は
ありがとうございました。
失礼させて頂きます」



ついつい怒った口調になってしまっていた。