「悪い。そうそう。
美怜、お前が行くのは…」
ドキドキしている。
きっと、楽しみが膨らんでいるからだ。
お父さんとお母さんが通ったようにお嬢様と御曹司が行くクラスになるだろう。
その時はそうなると信じていた。
「美怜が行くのは
『仕える者』のクラス。
つまり『メイドクラス』だ」
一瞬、思考回路が停止する。
「う、嘘でしょ!!」
「事実だ。もう取り消せない」
「私じゃ無理だよ」
「大丈夫よ。教養面は全て
教えてあるわ。問題なしよ」
お母さんが能天気に明るい声で言う。
(あの、別の意味で問題大ありだよ)
「平気よ。ウフフ」
母は相変わらず能天気で、1人で舞い上がっていた。
「でも、どうして『メイドクラス』に行かないといけないの?」
「それは・・・それは、美怜が
美怜が………カワイイから!!!」
「コホン。ア・ナ・タ。
親バカもいい加減にして!!」
「母さん分かってるよ」
お母さんの何も動じない笑みにお父さんは逆らえずにいた。
美怜は本当にあの2人の娘なのか、疑いたい。

