そして気になっていたことを口にした。
「あの、あの子の名前は…」
ゆっくりと首を振り、言葉が口から滑り落ちる。
「分からない。
ただ、20年程前の話さ」
「そうですか」
「あの、もう1つ
聞きたいことがあるんですが」
美怜はついでだから教えてもらおうと思ったのだ。
私の全てを知っている人、理事長の居場所を。
「何でも聞きなさい」
胸を張り上げて教頭は、にこやかに笑っていた。
「理事長は
どこにいますか?」
聞いてはいけないことだったのか、みるみると顔が曇っていくばかり。
「い、い、いないよ」
「学園に来たら、まず挨拶を
するように言われてるんです」
「知らないものは知らないよ」