ラズベリー



「失礼します」



入室すると、ちょび髭を生やしたちょっとメタボな体系で茶色のスーツに赤いネクタイをしている教頭先生に、上から下までジーッとじっくりと見られていた。


(東宮の娘ってバレてる!?)


「やぁ、君が山本君だね。
君はどこかのメイドかな?」



優しそうな笑顔だ。



「いえ。違いますが…」


「い、一般人か!?」


「あ、はい…」


「君は頭が良いなぁ。
素晴らしいよ。
あの子以来の逸材だねー」



そう言いながら、ホッホッホーと笑っている。



「…まさか、
あの子の子供かぁ?」



今度はいきなり目を丸くする。



「あの、あの子とは誰ですか?」


「ああ、よく分からないや」


「はぁ?」


「風の噂だよ。
あの『伝説の女性』」


「……?」