ラズベリー



優輝はもう少しで声が漏れそうだった。


優輝は見えなくなるまで美怜を見ていた。


こんなにも楽しい学園生活は何年ぶりだろうか。



やっと『Dクラス』が去っていく。


でも、まだ先輩達は騒いでいた。



「優輝様の
ウインクは私の物よ」


「いいえ。私のよ」


「キャー、こっちにちょうだい」


「明日もしてくれるかしら」



乙女の脳内はどんなつくりになっているのだろう。


ずっと騒がしかった。


怖い目の先生が注意するまでは。通り過ぎた後、優輝騒動はなんとか治まったけれど、口々につぶやいていた。


先輩メイドや先生、同学年がまだ私を見ていた。


そこに英理が勢い良く飛び付いて来た。



「美怜、すごいじゃん!!」


「えっ?
よく分かんないんだけど…」


「新入生がいきなり
完璧な礼をしたからだよ」


「えっ?」


「出来るようになるまでに
何ヵ月もかかるんだってさ」


「そ、そうなんだ。」


ただ、お母さんに教えてもらっただけなのに…。