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桜の蕾がふっくらとふくらみ、うぐいすが鳴いていた頃だった…
あの時、私に転機が起こることになるなんて思ってもいなかった。
コンコン
ノックの音がした。
今まで読んでいた一冊の恋愛マンガを閉じてドアを開ける。
そこには東宮家の専属メイドがいる。
なにやら私を呼びに来たみたい。
「まだ、食事の
時間でもないのに何?」
漆黒のストレートな髪をなびかせ純和風のお嬢様が聞く。
この部屋の主人であり、この物語の主人公、東宮 美怜だ。
「ご両親が美怜様に
お話したい事があるそうです」
「そっか」
そして訳が分からないまま、きらびやかなシャンデリアと紅いじゅうたんが敷かれた廊下を歩き、リビングへと向かった。
私はドアを開けてくれた専属の執事に軽く頭を下げた後、リビングに入った。
目の前にはなぜか深刻な顔をした両親が座っていた。
そして、お父さんは言った。
「美怜、大事な話がある。
そこへ座りなさい」
「はい」
座ると突然のようにお父さんは私に言った。