ラズベリー




(…ひどい。)



和輝に実力を認められたことは嬉しいことだろう。


でも、全然嬉しくない。


無力な美怜はこらえるしか出来なかった。



「えっと、さっきのが
最後でしたが、もう1人、
北条 葵。」



皆は少し戸惑いながらも元、和輝のメイドということで50人以上の人が手を挙げた。


そんな中、


「俺がもらうよ。」


その低く通った声が講堂中に響いた。



「ということなので、
葵は優輝様のメイドです。」



美怜はほっとした。



(優輝なら大丈夫。
葵も周りからそんなに
侮辱されないだろう。)



「決まったようじゃな。
では、これで終わりじゃ。」


「えっと、
決まらなかった人は探してね。
決まったら伝えにくるのよ。」



弥生さんが締めくくり、先生が能天気な言葉を最後に戻って行った。