すると次々と手が挙がっていく。
約20~30人ぐらい挙がっている。
端から順番に先生がゆっくりと見る。
誰が1番、位が高いのか、定めるためだ。
(…もう。優輝のバカ。
どうなっても知らないから。)
「えっと、多くて
分かりにくいですね。」
その後ろの方で息を切らして細々と片手を挙げ、目をそらしている人物がいた。
「えーと、あっ!!
香椎 優輝様が
手を挙げています。」
「え!?」
「優輝様より身分の低い方は
手を下ろして諦めて下さい。」
普段、優輝は満月と同様にメイドをとったことがない。
皆は今日起こっている不思議なことに興味を抱きながら事態を見つめていた。
優輝様よりも身分の低い人がパタパタと手を落としていく。
(良かった。
優輝のメイドになれるん……)
思いきり顔がほころびかけた時だった。
勘違いはそこまで。
もう1人の人物が堂々と手を挙げている。
優輝はこの学園で2番目に位が高いのだ。
それよりも上にいてるのは、ただ1人…。

