「皆の者、
油断は出来んぞ。」
口端をゆっくりと吊り上げる様はどこか恐怖心を与え、背中がゾッとする。
「そういうことだから、
『Dクラス』呼んだのよ。
今から決めるわねー。」
「「「「…はい。」」」」
突然の出来事で心臓がバクバクしていた。
先生の合図とともに順番に決められていく。
決め方は簡単なやり取りだった。
オークションでも行うように1人1人のメイド候補者を欲しい人には手を挙げる仕組みだった。
Dクラスがメイドを持てる人数は最高で2人まで。
オーバーは許されていない。
順番に進められていく中には「欲しい」と、かぶってもくる。
その場合は手を挙げた中の一番、位が高い人に仕えるという仕組みだった。
そして、もともとご主人様が決まっている麻衣や静香はそのまま変わることはない。
賢いメイドをもらった方がもちろん有利である。
下級貴族が手に入れるには頭を使うしかないのだ。
そんなやり取りを順番に行われていく。
中には誰一人として手を挙げられずにいてる子達も数人いた。
((…悲惨。))
美怜と英理はつくづくなんとかしてでも、
『選ばれたい!』
その一心だった。

