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その後のことはほとんど記憶には残っていなかった。


ただ、弥生さんのボディガードがドレス姿の私を見つけて部屋に運んでくれていた。


放心状態のまま、そのあとの舞踏会にはメイドとして出席していた。


満月様が貴婦人の変身は『すごかったよ』って笑顔で言って下さった。


麻衣と静香には…


「第二試験のルールで
『何もしないこと』っていう
決まりは無視だし……」


「勝手に庶民の見習いが
貴婦人を着替えさせちゃうし…」


「しかも約2時間も
途中で抜けるなんて
有り得ない!!」って


かなり散々に怒られてしまった。


2人に囲まれてのお説教はすごく怖いだろう。


周りでみんなが絶句していたから…。


でも今の美怜には全てが左に流されていた。


頭の中は


『…絶対に見つけ出すから
覚悟してろ!!』


何度も何度も浮かび上がる声が響いていた。



胸の奥が痛む…。