絶対に縦には振ってくれない。


「ご、ごめん…な…さい。」


いつまでたっても、その言葉ばかり。


大きな涙の粒が次々とこぼれ落ちていく。


ぐちゃぐちゃの仮面が全てを物語っているようだ。


「分かった。
俺、諦めないから。」


「そ、そんなこと
言わないで………」


「絶対に見つけ出すから。
覚悟してろ。」



彼は私にそう宣言すると、抱き締められていた腕がゆっくりとほどけられていく。


そのまま、頬に軽く口付けされた。


「………!!」


優輝はもう一度、強く抱き締めたあとに両腕をゆっくりと離した。


何も言わずに右手を軽く振りながら戻って行った。


一度も振り返ることはなく。


その後ろ姿は最初に出逢ったときよりも大きくて頼りになるものだった。


「うっ…
ひっく……うぅっ…」


美怜はその場に膝から崩れ落ちていく。


仮面にはたくさん涙を含んで、グチャグチャだった。


もう、つけられる状態では無かった。