それに注目する貴婦人たちが面白おかしく噂を立てている話し声が耳に聴こえて来た。
「まあ、あの子は
どこの子ですの?」
「本当に。彼は西園寺家の
許婚の方でしょう?」
「まったく。彼女は最悪ね。
見たことありませんもの。
身分の低いとこじゃないかしら?」
「きっとそうね。
もしかして、一般人が
混ざり込んだのかもよ。」
扇を持ちながら、高笑いが突き刺さる。
アハハハハハハハハ……
「今から踊るの?
バラードは難しいわ。」
「失敗するに
決まっているわ。」
「あーあ。
優輝様がかわいそう。
珍しく踊られるのに。」
アハハハハハハ……
貴婦人たちは言いたい放題しゃべっていた。
「あのー……」
話そうとした瞬間、音楽が鳴り始めた。
「良いから、
リードは任せて。」
少し恥ずかしそうに彼は言った。
「うん。」
少し頬をピンクに染めて答えた。