もう感情は崩れるばかり。


音を立てて崩れているようだ。


「別に良いじゃない。
この世界では
当たり前のようにあることよ。」


「訳が分からない!!
合併させないために
メイドクラスに私を
入学させたんじゃなかったの?」


言葉が止まらずに次から次へと溢れ出てくる。


私の機能が壊れてしまっているようだった。


「しかも相手は東宮の
最大のライバルなんでしょ。
結局は政略結婚じゃない!!」


──…パシンッ!!


…気が付けば頬が痛かった。


張り詰めた音が舞踏会のバラードにかき消されていく。


「ここがどこか分かってるの!?
今は赤の他人同士。
たまたまお話をしているだけ。」


「………」


何も言えなかった。

だって、その通りだから。

…赤の他人同士だから。


「でも、こんなにも
ムキになるなんて
何かあるのかしら…?」


「!!!!……別に。」


そう言いながらも目線は優輝を捕らえていた。


物悲しそうに…。