ラズベリー



「お久し振りでした。」

「恋しかったよう。」


お父さんが抱きつこうとするが、その腕を払いのけた。


「お父さん、
時間が無いので
再会は後ほどで。」

「!!!!」


ショックを受けているお父さん対して、お母さんは心構えが出来ているようだった。


「こんな格好してまで
ここへ来るなんて
一体、何事かしら?」


「単刀直入に聞きます。」


「何かしら?」


「お母さんはもしかして、
『伝説の女性』なの?」


お母さんは一息ついて言う。


「そのことね。」


「ちゃんと答えて!!」


「…そうよ。」


堂々とした目をしていた。


「やっぱり。
なんで…なんでちゃんと
話してくれなかったの!?」


美怜は訴えるように詰め寄って抗議する。


美怜の目元にはうっすらと涙の粒が浮かんでいた。


(なんで、実の娘にさえも
教えてくれなかったの?)


「それは、あなたを立派な
女性にしたかったからよ。」

「えっ?」