ラズベリー



「荷物はもう
部屋に届いてあるからね」


「ありがとうございます」


「でも、部屋に案内する前に、この寮での決まりごとを詳しく説明したいから、こっちに来てくれる?」


「はい」


「今日ね、来た子たちが多いのよ。だからまとめて説明しちゃおうと思ってね」



そして、私が通された場所は応接間だった。


ガラガラガラ


戸を開けると、そこには同年代の女の子が約10人ほどいた。



「それでは、これから
説明をするから席に座って」



用意されているイスを指して、寮母さんは私たちに言った。



「早速だけど
寮でのことを説明するわね」



皆が真剣に聞いている。


寮母さんがホワイトボードを取り出して、書き込んでいく。



「まず寮はこのダイヤ寮を含めて4つあります。メイドの卵たちの住む『ハート寮』と『ダイヤ寮』があります」



いつの間に用意したのか分からない指揮棒で、それぞれの寮を指している。


どうやら、この人数だけが希望者じゃないらしい。



「そして執事の卵たちが住む
『スペード寮』があります」



執事の方が圧倒的に少ないみたいだ。



「ちなみにクラス分けは
この寮ごとに分かれています」



(だからかぁ。あの香椎って奴が
私がメイドだって分かった理由)