(何を話しているんだろう。)


気になって仕方がない。


近くで聞きたいが、動けそうもなかった。


(…早く話したいのに。)


私が心の中でやきもきしていた。

ちょうどその時だった。


さっきから走り回っていた小さな男の子ががつまずいて転んでしまった。


「「「「!?!?」」」」


その子が持っていたグラスに入っていたオレンジジュース。


そのオレンジジュースがぶちまけられた。


それは1人の着婦人のドレスに思い切りかかってしまった。


「「「「!?!?」」」」


周りから動揺が起きる。


その男の子は号泣していた。


嫌な空気が漂っている。


美怜はつい身体が動き、婦人の近くにあったシーツでドレスを覆う様にかけた。


(美怜…!!!)

(バカ……試験中だろ…!!!)


「皆様、
お騒がせいたしました。」


周りはまだザワザワしていた。


「婦人、こちらへどうぞ。」


そして一礼して大きなドアを開けて婦人を誘導する。


片手に赤ワインを持ちながらお母さんが笑っていた。


(フフッ成長しているようね。)