ラズベリー




優輝って人に案内してもらって、やっと私はダイヤ寮にたどり着いた。


離れにあったダイヤ寮は、洋風な外装で小さな風見鶏がゆっくりと回っていた。


(これから、ここに住むのか)



ドアを開けると、すごくアンティークな造りになっている。


たくさんのドアがあって、まるでルームシェアみたいに広々としていた。



「すみません、
誰かいらっしゃいませんか」



むなしくもなかなか返事がない。



「すみません」



仕方なくもう一度呼ぶ。



「はーい」



バタバタッと1人の女性が慌てて、階段を降りてきた。


その女性は最後の階段をガタッと踏み外した。



「こ、こんにちは。あの……」

「こんにちは。
こんなの、へーき、へーき」



こけた膝を軽くパンパンと叩いている。



「…はぁ」


「今日から住む、
山本 美怜ちゃんですね」


「はい。よろしくお願いします」


「ダイヤ寮の寮母の
尾崎 律子[オザキ リツコ]です」



寮母さんは日本のお母さんって感じの穏やかな雰囲気を持つ、少しふっくらとした優しそうな人でした。