和輝は今起きている状況が理解できなかった。
優輝は、今まではメイドも執事も付けず、人に関心が無い奴だった。
イベントにはいつもいつも不参加ばかりだった奴だ。
和輝に比べたら出来損ないだと、皆が心の底で感じてた奴だ……。
何故、ここにいてるんだ…。
「残り5分。」
会場中に響いた。
周りは着々と着替えていく。
早くに始めたところは2人とも着替え終わっていた。
美怜はまだ着替えて無くて、優輝の帯を締めていた。
「おい。もう時間ないぞ。」
「分かっていますよ。」
終わったハートクラス達がこそこそと囁いている。
「見て、もう間に合わないわ。」
「諦めたんじゃない?」
「そうみたいね。」
嫌味はトゲトゲしている。
でも、美怜はその野次馬のような囁きを無視して優輝の着付けを仕上げていく。
「俺ばっかりにかまうな。
お前も早く着替えないと…」
「いいんです。」
「何でだよ。
お前もって言ってただろ?」
「本当の正解は、
こういう事ですよ。きっと。」
美怜がこっそりと口端をニヤリと吊り上げた。

