そして、その花の茎をポキッと二つに折った。


また花びらがひらりと舞い散った。



「は、はい」


「下がれ」


「失礼させて頂きます」


「ああ」



そして再びイスに座った。



「なあ、お前はどう思う?」


「全く分かりませんね」



何を考えているのか分からない風貌の長髪の青年がどこからか現れた。



「そうだな。だが、優輝からは、ただの一般人だと聞いている」



その青年は散らばった破片を片付けていく。



「そうですね。優輝様は決してお兄様に嘘は言われない方」


「ああ。でもなぜか気になる部分がある」


「ならば、私が調べましょうか」


「いや、まだいい。一応、葵の勝負を見てからとしようではないか。なあ、賢斗[ケント]」


「分かりました。
必要ならばお呼び下さい」


「ああ。頼りにしてるぞ」


「私は和輝様の使用人ですから」



そして2人は重なるように薄っすらと笑みを浮かべていた。



何もかも手に入れるのはこの私だ───…


そして、夜が更けていった。