「別に」


「目に見えている勝負だがな」


「どうだろうね」



思わず笑みが零れ落ちる。


これからが楽しいんだから。



「はーあ」



陸には2人の間に火花が散っている気がした。


そして他の子の演奏も終わり、残り2人となる。



「先程お伝えしましたように、ここからが勝負です。よろしくお願いします」



拍手の音がより一層大きく感じた。



「39番、北条 葵」


「何!?」



和輝から、つい言葉が漏れた。


だって、一般人よりも先に演奏するなんて、例外中の例外だったから。


しかも生徒会長のメイドが先に演奏することは有利になるしかないのだから。



「ふーん、
最後じゃないんだ。意外だね」



優輝が和輝を煽るような口ぶりで言った。


彼女は中央へ行き、礼をした。


そしてイスに座った。