「まぁ、ともかく学園生活は
しっかり楽しんでらっしゃい」


「そうだぞ。
せっかくだからな」


「うん」


「たくさんの友達を作るのよ」


「友達だけだぞ!!
他はいらないからな!」


「美怜の彼氏、
早く見たいわぁー」



お母さんは、楽しそうに想像している。



「はい」


「連れて来ても、断じて
父さんは許さんからなぁ!!」



お父さんは顔を真っ赤にして、頭から湯気でもたっていそうだ。


そして、私がリビングを去ろうとした、その瞬間……。



「美怜!!」


「何?お母さん?」



振り向いた私に母は言った。



「寮生活は明日からだから
しっかり支度していてね」


「はい。………って。
えええぇッ!!」



思わず、自室の向かっていた足が180度変わっている。


両親は相変わらず私の方を見て、穏やかに微笑んでいた。