パリンッ




黒のワンピースの中に湊兄様の手が滑り込んできた時、閉めていた窓ガラスが突然割れた。




「…な、なんだよ!」




湊兄様の手が止まり、二人して窓ガラスに注目する。




この音は……銃声…?




窓ガラスに次々と撃たれているのは銃弾。
涼音が一度だけ侵入者に使ったことがあるから、この音は覚えてる。




湊兄様は耳を塞いで音に耐えているけど、私は割れる窓ガラスから目が離せなかった。




割れかけた窓ガラスが入ってきた黒い物体によって、完全に割れる。




どうして………
もうあなたとの思い出は、閉じ込めてしまったのに。




どうしてそれを破って出てきてしまったの?




あなたを忘れて、"道具"として生きると決めたのに。




どうしてあなたは忘れさせようとしてくれないの?




ジャリ…
割れたガラスの破片を足で踏み、金髪についた細かい破片を頭を振って払う。




その長い前髪の奥の瞳が真っ直ぐに私を捕らえた。