「橘涼」



悲しい寂しい嬉しい苦しい



よく分からない感情が入り乱れてるなかでハル先輩が私を呼んだ




「初めて会った日に俺自己紹介したけどさ、言ってないことあるんだよね」




それから私の手にあるスーパーの袋を持つと



「帰ったらこれ食べながらゆっくり聞いてくれる?」



珍しく弱気にそう言って歩き始めた。




ハル先輩の家に着くまでの何分間かに



「橘涼が言ってた好きな人と好きな人の好きな人って、千尋と文香か~」



「それはちょっと予想外だな~」




「いい関係にしてあげられなかったらごめんね?」




まるで俺にまだ何も聞くな



そう言っているかのように一人で話し続けていた。




そして家につくとハル先輩は紅茶とお菓子を出してくれて


私の目の前に座ると重い口を開いた