男も涼も近くのスーパーの袋を持っていて…



二人はこれから同じ家に帰るのか?




そう思うと頭が真っ白になった。




「…ち、ひろ…」



文香の声に思考が戻り始める。



「涼、の隣…ハル…」



文香は一度も顔をあげることなくそう言った。



ハル…?



俺はどこかで聞いたことがあるようなその名前を何度も何度も頭のなかで呼ぶ。




「…ハル?」



思わず口に出してしまったとき




「あん?」




男は振り返った。




睨まれていると勘違いしてしまうような鋭い目に記憶がはっきりとしていく。



「…ハル、先輩」



「お!千尋と…文香か?」





俺はぎこちなく頷いた。