「俺聞いてないけど!?」


「だって今言ったもん」



おい涼。


さっきから顔にやけまくってるけど?



あー、気にくわねえ。



「あのなあ、早坂とそんなとこ行ったら襲われるだけだぞ?あいつ年中発情期だからな?分かったら早く帰ってこいよ。てか行くな」


俺はため息をつきながら涼に説明した。



「…でよ」



「あ?」



かすれた涼のきれいな声。



小さくて何を言ったのか聞き返した俺の声は、低くて苛立っているのが丸わかりだった。




「なんでそんなこと言うの!?黒瀬くんに早坂くんの何がわかるのよ!!!!早坂くんはそんな人じゃないから!!!!!!」




ガタッ




涼は勢いよく立ち上がって泣きながら去っていった。




俺は、涼のために言ったはずだった。



なのにどうして分かってくれない?



どうして泣くんだよ…




信じられないくらいに胸が痛かった。