「ふーん。好きな人いるんだ」 私の好きな人だって知られたわけだし、私も黒瀬くんの好きな人知ってもいいよね! 「さぁね」 右の口の端を上げて誤魔化す黒瀬くんを、不覚にもかっこいいと思ってしまった。 「なぁ、あんたこれから早坂とどーすんの?」 「どーすんの?ってなに?」 黒瀬くんは話ながら隣の椅子を1つ引いて、どーぞと言ってくれた。 私は少しだけペコッとしてその席に座る。 …あ、隣って意外と近い。 「早坂大地って手早いって有名じゃん。」 「あ、あぁ…」 「それにいい噂も聞かないし?」