少しすると、教室に少しずつ人が来はじめた。

その内の何人かが、私が友達と笑い合う姿を見て驚いた顔をしたり、不愉快そうにしたりしているのが目に入った。





胸が少し苦しくなる。


やっぱり私は友達と笑い合う資格なんかないんだ…。





「どした?」
「大丈夫?愛子ちゃん、」





「…………へっ!?」





ダメだ。
私今完全に自分の世界に入ってた。



「ごめんごめん!!何の話だっけ(笑)」


「そいえば愛子ちゃん私と話してる最中もたまにボーッとしてるよ?」


「え!!そんなことないと思うけど…」





そんなことない!!
とは言い切れなかった。
なぜなら思い当たる節がないわけでもないから。
教室で話していると、なぜか周りの視線を気にしてしまう。
誰かがどこかで自分の話を聞いているのではと、不安になる。





それはきっと、どこか『友達と仲良くする』という行為に罪悪感があるから。





でも表情に出てたなんて気づかなかった…。





「なんかあった?」


「っ!!!!…………」





昨日のことが頭をよぎる。
動悸が少しずつ速くなっていくのを感じながら、冷静を保とうと制服の袖を強く握る。





「あ!!目の下クマが出来てる!!」


「えっっ!!!!」



小野くんの発言に思わず目の下を押さえる。



「寝不足だな!!」


「え!!愛子ちゃん手どけてみて!」


「ヤダ!!てか変な発見しないでよ〜。」



――キーンコーンカーンコーン



ナイスなタイミングでチャイムが鳴り、千笑ちゃんと小野くんは席につく。





即座に鞄から手鏡を出し目の下のクマを確認。

しかし、毎晩たくさん寝る習慣のついた私に、目の下のクマなんてなかった。


小野め、許せん。


と、思いながらも、昨日の話になりそうだったあの雰囲気を壊すため、わざと嘘をついてくれたのではと、


都合のいい憶測でも、
少し胸がキュッと締め付けられた。